会社法違反による過料決定の通知が来たら

 

ある日突然、裁判所から通知が来ます。

 

過料決定(見本)

 

これは、会社法に定められた役員変更の手続を怠ったことにより、過料という制裁金を課せられた、という通知です。

 

株式会社の役員には任期があります。
任期が満了したら新たな役員を選任しなければなりません。
そして、役員に変動があった場合は、役員変更登記をしなければなりません。
同じ人が選任された場合(「重任」と言います)でも、その旨の登記をしなければなりません。
これを怠った場合、過料が課せられることがあります。

 

実際には、12年くらい役員変更の登記をしていない会社に対し、法務局から連絡が来ます。
これは、実態上会社が存在しているかどうか、言ってみれば会社の「生存確認」です。
この時点で会社の実態が無ければ、法務局は「みなし解散」の手続に入ります。
会社の実態がある場合は、上記の役員選任義務及びその登記義務を怠ったとして、裁判所に報告されます。
裁判所で審理した結果、過料の額が決定され、会社の代表者に通知されます。

 

この決定に対して不服があるときは、異議申立をすることができます

 

取締役の任期は原則2年です。
どうやら裁判所は、原則どおり任期を2年と仮定し、義務違反の期間を10年くらいで計算して過料を決定しているようです。
ところが、取締役の任期は定款で最長10年にすることができますので、実際には義務違反の期間が3年くらいの場合もあります。
つまり、実際の違反期間より過大な過料が課されている場合があります。
この場合、裁判所に異議申立をすることにより、過料が減額になることがあります。

 

この異議申立ができる期間は、通知が届いてから1週間以内です。

通知は書留郵便ではなく、普通郵便で送られてきますので、ポストに入ったまま気づかず、期限切れで申立出来なかった、なんてことが無いように注意しましょう。

 

当事務所でも、異議申立書作成業務を承っております。
遠慮なくご相談ください。

 

※異議申立をしても、過料が減額されない場合もあります
※同時に役員変更及びその登記手続も行う必要があります。

 

異議申立の報酬
申立後減額された過料の額÷2=報酬額(税別)
上記の額が2万円に満たない時は2万円(税別)
及び交通費・郵送費等の実費
例)
当初の過料決定額    10万円
異議申立後の過料決定額  4万円
(10万円-4万円)÷2=3万円(税別)

 

この様なことが起きないよう、役員の任期には十分ご注意ください。

 

異議申立の流れ

 

過料決定についてのQ&A | 裁判所